


―お産の現場では、神秘的なことが数多く見られるそうですね。
生まれたての赤ちゃんは「オギャー」と泣くものだと思ってはいませんか?私の取り上げる子は、ギャーとは泣かないんですよ。産声を少しだけ「ホニャ」とあげるだけ。なぜなら、臍の緒をすぐに切らないからです。自分のペースで呼吸を確立していく時間を待ってあげると、赤ちゃんはとても穏やかな表情になるんです。私は、赤ちゃん一人一人の呼吸のプロセスを大切に見てあげたいと思っています。また、臍の緒の拍動は、胎盤側から止まっていき、赤ちゃんのお臍の間際まで拍動していって止まります。それと同時に、臍帯血が全て赤ちゃんの方に入っていくのですが、その瞬間に赤ちゃんが自立した表情になるんです。とても不思議な光景ですよ。拍動が止まるまでの時間というのは、短い子だと10分程度ですが、長い子は3時間半も止まりません。これは、その時間がその子にとって必要だということでもあると思います。本当にやさしいお産、やさしい赤ちゃんの迎え方というのは、その子の個性を尊重し、自立のパターンをちゃんと見守ってあげるということだと感じずにはいられません。
―激務だと思いますが、リラックスする時間はありますか?
私のスケジュールは全て赤ちゃんたちに委ねてあります。24時間全く休めないこともありますが、自分の好きなことをしているから、毎日が休みのような気もしているんです。赤ちゃんやお母さんから優しい気持ちを頂いて、逆に自分が生かせて頂いているので、辛くはありません。お産は私のライフワークなんでしょうね。
―最後に、今後の夢をお聞かせください。
この地域(横浜市青葉区、川崎市宮前区)の特徴は、健康と出産に対して意識の高い方が多いところです。出生数も多く、自然な出産を希望されている方もたくさんいらっしゃいます。助産院は今、社会的に厳しい状況に立たされていますが、私を必要としてくれる人がいる限り、精進していきたいと思っています。夢は、入院施設を作ることです。身寄りのない方たちのためにも長期に滞在できる施設を作り、充実した産後のケアを行って、女性がより美しく健康に生きていくためのお手伝いをしたいと考えています。私の幸せな出産、母乳育児体験は、生きる大きな原動力になりました。この気持ちを多くの方に感じて頂き、悲しい出産、辛い出産のない社会のために貢献したいですね。