
―なぜ開業の地を十日市場に選ばれたのですか?
開業するときって、経営コンサルトにリサーチをかけるんですね。そうしたら「近くに昔ながらの団地があってお年寄りがいっぱい住んでいるから、十日市場がいいだろう」といわれまして。で、実際に始めてみたら、その団地は建て替えで、全然人がいなかったんですけれど(笑)。しかし当時は、このあたりの開業医がごく少数でしたから、患者さんは多かったですね。始まって5年目くらいまでは多いときは一日に約180人の患者さんを診ていました。うちは泌尿器科、内科、皮膚科の3つの診療を行っているんですけれど、割合的には6割以上が泌尿器科の患者さん。男女比は6.5:3.5くらいで、女性の患者さんも多いですよ。
―開業されて13年、何か変化は感じられていますか?
そうですね。まず13年前というと、医療機関同士の連携体制がまだできていない時代だったんです。そこで、難しい症状の患者さんが来ると、患者さんと一緒にほかの専門医のところへ行き「私はこういう者だけれど、この患者さんを診断してください」とお願いすることも度々ありました。そうした積み重ねから、やがて"泌尿器科の病診連携の会"を立ち上げたんですね。連携の基盤をつくるのは実に大変だったのですが、それが軌道に乗るようになってからは、新たに開業されている先生たちもスムーズに他病院との連携ができるようになっているのではないかと思います。
―泌尿器科医としてのやりがいは、どんな部分に感じられていますか?
前立腺ガンというのは、検診で早く見つけてあげることができれば助けられる率も上がるんです。早期発見ができたときは、ひとまず「あぁよかった」と安堵しますよね。また自分で最後まで見てあげられなくとも、患者さんにいい病院を紹介し、笑顔で戻ってきてくれたときはとてもうれしいです。それと、男性不妊症治療にも積極的に取り組んでいます。現代は人工授精が可能ですから、どうしても女性の不妊症治療に比べると忘れられがちな分野になっているんですけれど、男性の不妊症の治療により、人工授精ではなく、性交渉で妊娠することが可能になります。また当院では、前立腺生検を外来で行なっています。といっても、入院できないリスクがありますから、患者さんには無理におすすめせず、必ずほかの大きな病院での入院生検も一緒にご提示しています。そしてその場で返事をもらわずに、「ご家族と相談した上でお返事をください」とお話しするようにしています。それで後日「やっぱりここで日帰りの検査(生検)をやりたい」と決められた方には生検を行っていきます。ちなみに合併症の恐れがある場合は、当院では一切受け付けておりません。